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人間の深層心理や社会の闇について徹底的に書き上げ、「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」など、数々の傑作を生みだしてきたドストエフスキー。その作品たちは、ロシア文学内だけでなく、世界中の文学の中でも最高傑作だという声も多いです。
今回はそんなドストエフスキーの作品を読んだ感想を記したいと思います。
貧しき人々
こちらはドストエフスキーのデビュー作。昔「罪と罰」を読んだことがあるのですが、それよりはずっと読みやすいと思いました。短いですし。
物語は愛し合う中年の下級役人マカールと、幸薄の娘ワルワーラがやりとりする手紙の内容だけで進んでいきます。最初はちょっと陽気な雰囲気で始まったので、あれ?このノリで行くのかな?と思ったのですが、やはりすぐに「貧しき人々」というタイトルから連想させるような雰囲気が醸し出されてきました。
貧乏な人々は、買うものややることなど、お金が関わることは、些細なことでもあれこれ考えなければいけないのが悲しいですね。靴や服など、古くなったらすぐ新しいものが買える人たちは、そんな物に悩まされたことはないでしょう。
「貧しい人々はわがまま」というマカールの意見も一理あります。ただそう見えるというだけなんでしょう。たとえば新しい靴が欲しかったとしても、金持ちはすぐに買えるのでそれ以上靴についてあれこれ言うことはない。しかし貧しい人はいつまでも新しいものを買えないからいつまでも新しい靴について考えなければならない。それがいつまでも執着している=わがまま のように見えるのでは?それにお金があれば心に余裕ができますもんね。この余裕は人を柔らかくします。
ワルワーラのほうは、マカールを深く愛しているのは分かるけれど、たまに理性的な大人の女性の顔が出てくる時があるように思います。
ブイコフ氏との結婚が決まってからの彼女は、やれレースがいるだチェーンステッチで頼むだなど、あれこれマカールに注文します。マカールを愛する純粋な気持ちはあるけれど、ブイコフ氏と一緒になるほうが生きてゆけるし、マカールのためにも良いと考えたのでしょう。そうやってきっぱり決断してすっぱり別れられるのは、女性の持つ強さですね。
短い作品で、手紙のやりとりという簡単な構成の中にも、ドストエフスキーらしいロシアの街と人間の心の薄暗さを感じさせる雰囲気が漂っていました。


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