※この記事はネタバレを含みます。
英語の勉強をしているので、よく英語の本を読んだり、映画を観たりします。
最近は同じ物語の洋書・訳書・映画を楽しむという癖ができました。だいたい最初は洋書に興味がわいて読んでみる、読んでみるとよく分からないところがあるので訳書を読んでみる、そうすると映像でも楽しみたくなって映画を探す、映画化されていたらそれを観る、という順番で進んでいきます。
今回は洋書「Beloved」、訳書「ビラヴド」、映画「愛されし者」の感想を書きます。
原作:Beloved / 著者 Toni Morrison / 出版年:1987年 / 言語:英語 / ジャンル:アメリカ文学
トニ・モリスンという著者はちょっとアメリカ文学を知っている方ならば知っている名前なのではないでしょうか。私も名前は知っていて、「青い眼が欲しい」という小説のレビューを読んで、読んでみたいな~と思いつつ、ずっと読めていなかったんですよね。
今回「Beloved」を読むきっかけとなったのが、もともと洋書のホラー小説を探していて、たまたま本作を見つけたことでした。確かRedditのような掲示板サイトだったと思うのですが、とにかく絶賛されていて、著者もトニ・モリスンだったので、これはいい機会だと思い、手に取ってみたのです。
結果私が求めていたような”ホラー”小説ではありませんでしたが、素晴らしい物語でした。
本作は1988年にピューリッツァー賞(フィクション部門)を受賞しています。
ビラヴドを読んだ感想
南北戦争前後の時代が舞台。元奴隷のセテと娘のデンヴァーは、幽霊が出る124番地の家に住んでいる。スウィートホームで奴隷時代を共に過ごしたポールDの来訪により、幽霊は出なくなるが、サーカスから帰ってきたある日、124番地に、自らをビラヴドと名乗る少女が現れる。ビラヴドとの生活を通して、セテとデンヴァーは、彼女がセテに殺された娘だと気づく――。
といった物語ですね。最初私は洋書を読もうとチャレンジしたのですが、これが難しくて難しくて・・・。他の小説も100%は理解できないまま読んでいますが、これは他の小説と比べてもずっと難しいといった印象を受けました。難しい言い回しに加えて、入り組んだ時間軸、さらには登場人物の正しくない文法の話し方が、小説を難解にしているのだと思いました。
洋書だけで内容を理解するのは無理だと悟った私は、訳書も読みました。訳書の力を借りると、何故か洋書の読解力も上がるような気がしますね。設定が頭に入るからでしょうね。同時進行して、洋書と訳書を読みました。
ただ正直、訳書を読んでもなお難しかったですね(笑)。私の国語力の問題?!トニ・モリスンは難解な文章を書くタイプの著者なのでしょうか。他の作品も読んで確認してみないといけませんね。
それにしてもこれを翻訳した吉田廸子さんって、すごくないですか!?彼女のおかげでこの難解な物語をなんとかざっくりと理解することができました。本当に感謝!
アメリカの地理と奴隷制度について
さて、小説「ビラヴド」のメインにあるテーマは、奴隷制度です。
学生の頃に習った記憶はあり、奴隷制度はあってはならないものだと思っていますが、その歴史をどれだけ知っているかというと・・・。恥ずかしながら何も知らない。
そもそもアメリカの地理についても全く知識がないので、今回は「ビラヴド」を通してアメリカの地理と、奴隷制度について勉強します。
まず、セテやデンヴァーが暮らしている124番地はオハイオ州シンシナティにあります。セテやポールDが奴隷として働いていたスウィートホームはケンタッキー州にあります。オハイオ州とケンタッキー州はアメリカ全体の地図で見ると以下のような位置にあります。ケンタッキー州の北部にオハイオ州は位置していますね。

こちらはオハイオ州の地図。赤丸のところにシンシナティがあり、水色の部分がオハイオ川。そのすぐ南側にはケンタッキー州がありますね。

オハイオ州の南端全体にオハイオ川が渡り、州の境界線となっている。・・・いやぁアメリカの自然の規模のデカさに驚かされます。
そしてこのオハイオ川ですが、奴隷制の歴史において重要な川であり、ここの川を渡ることは奴隷たちにとって「自由への道」を意味していたそうです。セテもこの川を渡って逃げてきましたよね。
当時アメリカの州は、奴隷制を認めない自由州と奴隷制を認める奴隷州に分かれていました。

1856年頃のアメリカの自由州と奴隷州を表した地図です。
西側はどうなっているんじゃ!と思ったのですが、なんとまだ開拓中だそうです!(そんなん当たり前だろ!って思われたらすみません。アメリカの歴史についての知識が全くなかったもので^^;) 1890年に開拓終了したことを考えると、改めてアメリカって歴史の浅い国なんだなと思いますね・・・。
この地図を見てみると、確かにオハイオ川が自由州と奴隷州を分かつ境目だったことが分かりますね。
1863年のリンカーンによる奴隷解放宣言、そして1861~1865年の南北戦争の終結によって、奴隷制度は廃止となりましたが、黒人差別は今現在も続く問題となっています。
セテのモデルとなった人物
セテのモデルとなった人物がいます。マーガレット・ガーナ―という人物です。
彼女は1856年にオハイオ川を渡り、家族とともにシンシナティに逃げてきた奴隷でした。彼女らを連れ戻そうと捜索隊がやってきた際に、連れ戻されるくらいなら、と自らの娘を殺し、他3人の子どもと自らの命も絶とうとしました。

映画「愛されし者」について
小説を読み終わり、もし機会があったら映画も観てみてください。
1998年公開の映画で、セテ役をオプラ・ウィンフリーが演じています。
小説を読んだ後に映画を観ると、自分の想像があっていたか答え合わせができるので、楽しいですね。ここはカットされたな、とか、映画だけでは伝わらない細かなところも知っているので、より映画への理解が深まります。この映画は特に、原作を知っていた方が分かりやすい気がしました。
わりと小説を読んでいた時に想像していた通りの映像だったので、嬉しかったです。
ビラヴド役の俳優さん、タンディ・ニュートンの演技がすごくて、怖かったです!想像通りのビラヴド!別作で英国アカデミー賞 助演女優賞も受賞されているそうなので、演技がすごい怖いのも納得。
映画はだいぶ原作に忠実に作られていました。3時間にも及ぶ大作ですが、それでもやはり小説の内容すべては入れられないですね。多少カットはされています。
古いし、長い映画ですが、原作を知っているからか、飽きずに最後まで観られました。皆様もぜひ観てみてください!
まとめ
テーマが奴隷制度ということもあり、どうしても意見や感想を言うのを躊躇ってしまいます。
部外者である私が何か言ったって、とても薄っぺらい言葉にしかならない気がするし、なにかを言う資格なんてないと思うからです。
ただ、私が今、好きなところに住み、好きなことをし、仕事は何をするか、誰と付き合うか(あるいは付き合わないか)、子どもを持つか(あるいは持たないか)、そういった選択が当たり前にできるのは、私は自由で、日本が今現在平和であるからなんだな、ということを改めて感じました。そういうことは常に平和で自由な人生を歩んでいると考えなくなります。当たり前のものだと思うようになります。だからこそ、たまにはこういった暗い歴史についての題材を読んだり観たりして、これが当たり前のものじゃないと思い出す必要があるな、と思いました。
以上、「ビラヴド」訳書・洋書・映画の感想についてでした。次は何を読もう&観ようかな~!


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