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日本の文豪は?と誰かに聞けば、5人挙げるまでにきっと名前が出るであろう夏目漱石。今回はそんな日本を代表する作家である夏目漱石の作品を読んだ感想を記していきます。
こころ
この作品はずっと私のお気に入りでした。中学生の頃に国語の授業で習い、衝撃を受けたことを今でも覚えています。教科書に載っていたのは「先生と遺書」の一部分だけだったと記憶していますが、その教科書をむさぼるように読んでいました。
やがて親が本を買ってくれ、定期的に読み返す作品となりました。
今回感想を書くにあたって再読したのですが、やはりいいですね。昔読んだ時よりも短く、あっけなく終わってしまった印象がしました。読むのが速くなったということでしょうか・・・?
私が思う「こころ」の最大の魅力は、やはりなんといってもその文章です。キャラクターもストーリーも魅力的ではありますが、とにもかくにもこの文章が美しい。素晴らしい。こんなに正確に誠実に、深い心のうちやできごとを的確な言葉で表した作品ってなかなか読んだことがありません。ここに文豪が文豪たるゆえんがあるんでしょうね。本当に夏目漱石の文章は巧みだと感じます。
そして読みやすい!昔の作品などを読むと、文章が堅苦しく感じたり難しかったりして、内容がなかなか頭に入ってこないことがあります。でも「こころ」は、約100年前に書かれた作品とは思えないほどすっと文章が頭に入ってきます。
出てくるキャラクターの性格も、現代が抱える闇と見事にマッチします。人を信じることができない。自分すらも信じられないといった鬱々とした気持ちは、現代でも多くの人が同じように抱えているものでしょう。だからこそこの作品が現代でも読み継がれているのだと感じますが、「こころ」が執筆された約100年前も、同じようなことで人々は悩んでいたのかもしれません。人の心や悩みって、いつの時代も変わらないのですね。
作中に出てくる私も先生も奥さんも、みんなどこかやわらかく、それでいて少し寂しく感じられます。この独特の雰囲気は文章から作り出されるものなのでしょうが、この柔らかくて寂しい雰囲気がとてもグッときます。
ストーリーについては、マジレスしてしまうと先生はいつまでも起こったことを引きずりすぎだし、奥さんのことを見くびっていると思うし、奥さんのことを思うならふんっと踏ん張って頑張って行けよ!と思わないではないですが、でも小説にあまりリアルを求めすぎるのは無粋だと思います^^; だからこれでいいんだと思います。ストーリーを重視する人は、あまり「こころ」は好みではない可能性がありますね。
そして、「こころ」について調べると、同性愛というワードが出てくることが多々あります。
同性愛、BL要素があると言っている人たちが、「先生と私」のこと、あるいは「先生とK」のこと、どちらについて述べているのかは分かりませんが、先生と私の間にはうっすらとその雰囲気は感じます。というか、私→先生といった感じですかね。
読んでいると「私」はあまり女性に強く心惹かれている様子もないですね。「私」の年齢設定は24、5歳のようですので、世間的に見れば一番異性に興味深々な時期だと思われますが・・・。そんな時期に女性を追い回さず先生を追い回している様子を見ると、ちょっと同性愛の要素も感じられます。
ただ人間の興味指向って流動的で、友情だか愛情だかよく分からない想いを誰かに募らせたりしながら成長していくものだと思います。私も中学生の頃、ずーっと仲良くしている同性の友達のことが好きすぎて、これは恋愛なのじゃないかと疑ったこともありました。「私」はちょっと大人になりすぎていると思いますが、そういった恋愛の指向が成長・確定するのが遅い性質だったのしれませんね。
「私」がゲイだとは思いません。恋愛志向の成長過程のゆらぎで、先生を強く求めたのだと思っています。物語から2、3年もすれば、「私」も先生と同じように、誰か女性を強く想うようになるのではないでしょうか?
さて、あれこれ話しましたが、とにかく文章に巧みさに驚かされる「こころ」。とくに日本人の心の揺れというものをとても的確に表現している作品だと思われます。そういえば授業で習ったけど、全部を読んだことないなぁといった方や、昔読んだきりだなぁ、といった方、ぜひこの機会に「こころ」を読んでみませんか?というかぜひ、読んでください!お願いします!


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