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安部公房の作品を読んだ感想を以下に記していきます。
砂の女
あらすじを読んで抱いていた印象と実際はだいぶ違いました。私は人里離れてポツンとある一軒家に閉じ込められて、その家が蟻地獄にはまったように埋まっていくのかと思っていましたが・・・もっと大きな集落の、砂を掘るための労働力として強制的に収容された男の話だった・・・!
読者の想像力が試されるような作品でした。読了後にネットで画像検索をしてみましたが、私が想像していたようなものと似た画像はなかなか見つからず(私は動物が掘ったような穴ぼこがたくさんある集落を想像していました)。実際の砂の性質とは異なる設定もあるでしょうし、映像化はなかなか難しいのでしょうね。
読んでいて、社会のシステムの話や、人間の習性の話をしているのだなと思いました。
他所からやってきたものはこの集落を見て、なぜこんなところに留まって毎日砂を掘るだけの人生を送らねばならんのだ?と思う。けれど、ああ不自由だあれがいかんこれがいかんと不満を持ちながらも、ずっとその現状を打破せず生きていく人たちは多いでしょう。主人公だって、たとえ砂の集落から脱出できたとしても、そこにはまたいつもと変わらない退屈で不満な人生が待っているでしょう。
砂を掘るという作業は、仕事と同じように感じます。週5日毎日8時間働いて、ご飯を食べて寝てまた翌日気づくと会社にいるという人生には、「これって何のために生きているのだろう?仕事するために生きている?」と思うことがあります。その人生は、この集落に生きている人たちと何ら変わりありません(週2日の休みがあるだけだいぶマシですが)。結局人間は、自由だろうがそうでなかろうが、生きるべくしてただ生きている。そんな気がしました。
そして人間は怠惰でもあります。環境を変えることは非常にめんどくさいです。集落から逃げようとしていた主人公も、結局は逃げ出さずに暮らすようになります。一度環境に慣れてしまえば、人間はやっていけるようになっちゃうんですね。もちろんブツブツと不満は言うかもしれませんが、一度慣れてしまった環境から旅立つのは、重い腰を持つ我々にはとっても難しくなってしまうんですね。
そして主人公も言っていましたが、何かやること、考えることがあると人は熱中します。どんなに不幸な境遇にいても、ちょっと楽しめること、熱中できることを見つければ、案外それだけで人間は幸せになれると、そう教えられたような気がしました。
とにかく人生に関しての教訓がいろいろと詰まっている作品だと思いました。ただ説教臭くはなく、純粋に文学としても非常に優れたものです。一緒に住んでいた女の存在が、砂が常に体にまとわりつくことによって妙になまめかしくなっています。こんな感じの女性は、男性を苛立たせながらも、奇妙な魅力を持って映ることでしょう。
文章から結構インテリ臭がするな、と思いました。いかにも「頭の良い人が書く文章」といった感じでした。これがもしかしたら好き嫌いが分かれる要因になるかもしれません。


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