※この記事はネタバレを含みます。
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三島由紀夫というと、たくましい体と割腹自殺が真っ先に思い浮かび、なんか怖そうな人という印象がありました。
でも作品をちゃんと知らないので、彼がどんな作品を書くのか一度確かめてみようと思いました。
以下に読んだ三島由紀夫作品の感想を記します。
潮騒
今までに読んだことのない、なんだかとっても異色の作品だな、と思いました。
調べてみると、三島作品の中でも異色なものであるようですね。私的には、三島作品の中どころか、今まで読んできた作品の中でもだいぶ異色なものだと思いました。
多少の紆余曲折はありますが、こんな男女の純粋な気持ちが純粋なまま果たされるお話は、なかなか読んだことがありません。大人向けの小説となると、大抵恋愛の辛さや悲しさが強調されますもんね(私の読むものに偏りがある可能性も大いにありますが・・・)。子供向け作品に見られるような純粋さでした。
文章は、三島由紀夫のビジュアルから想像できるような硬い文体だと思いました。でもその中にふと美しさや繊細さ、ことばの巧みさなどが見えて、きらきら光る鉱物を含んだ岩石のような文だと思いました。
そしてこの体育会系のようなストーリー!これに一番違和感を覚えました。
私は今まで、あまり「体育会系だー!」と思うような小説を読んだことはありません。たぶんこれは、多くの小説家が体育会系でないからだと思います。小説は多少なりとも小説家の考え方を反映するものだと思います(あえて全く別の物語を書く人もいるとは思いますが)。だから小説の中にも、あれこれ考えて街をぶらぶら散歩しているようなキャラクターが多いように感じます。
でも潮騒にあるのは、健康的な若さと汗の香りと、肉体賛美と労働への活力・・・!
なんという体育会系的小説・・・!私じゃ絶対書けないな~と、小説家でもないのに思いました(笑)
こんな作品を書く人って、体育会系な人か、体育会系に憧れてる人しかいないんじゃないかと。
三島由紀夫はこういった爽やかで純粋で健康的な人に憧れていたのかなぁ、と思いました。
仮面の告白
とても衝撃的な作品でした・・・。
ここまで書くか?!なぜここまで書かなければいけないのか?と思いました。
三島にゲイの傾向があったという話はなんとなく知っていましたが、どんなものに惹かれるのか、まさに彼の性癖がガッツリと書かれていました。
読んでいて、下手すると彼は殺人者になっていたかもしれない、という恐怖も覚えました。ただ三島はかなりの知性と理性も持って生まれてきたから、そうはならなかったのだろうと。彼のように血を愛し、もだえ苦しむ姿を見るのが性癖で、かつ知性や理性がない者は犯罪者になるのではないでしょうか。鬱憤が溜まって誰でもいいから殺したい、というタイプではなく、純粋に「人を殺してみたかった」といって犯罪を犯す人が稀にではありますが、いますよね。
ついこの間某SNSで、三島が自らの作品「憂国」を映画化し、それに出演していた画像がバズっていました。画像は三島演じる武山中尉が割腹自殺しようとしているシーン。
これにたくさんの「エロい!」という引用が付いていました。実際私も見てそう思いましたし、血というものや加虐的(逆に被虐的も)なものに対して興奮するという性質は、どの人間にも備わっている性質なのではないかな、と思いました。
三島自身も実際に割腹自殺で亡くなっています。今まで私はそれを、ものすごい覚悟の上で行ったことだと思っていたので、彼に畏れのようなものを感じていたのですが、「仮面の告白」を読んで、なんだ、あれはただの性癖だったのか・・・と正直多少ガッカリしました。でもそれで三島の人間臭さを感じて、前よりも親近感が湧きましたし、三島という人間に興味を持ちました。
三島のあのいかにも強そうな見た目も、憧れから後々手に入れたものだったのですね。ここで「潮騒」の感想を読み返すと、私の推測は見事に当たっていたんですね!昔読んだ「金閣寺」も、今思い返すと、なぜあのような小説を書いたのかより理解できます。
自らを理想の姿に近づけるために異常なほどの努力をしたのでしょう。その過程で、「仮面の告白」という小説を書き、過去の自分を徹底的にさらけ出した上で、それと決別する。完璧な自分になるために、それが三島にとって必要だったのかもしれませんね。
いや~しかし、厳しい!自分に厳しすぎる!私だって自分の嫌いなところはあるけれど、三島みたいにはできません!いや~すごいよ、すごいです・・・。


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