「ゲット・アウト」はちゃんと解答を出してくれるホラー映画

映画

映画「ゲット・アウト」を観ました。

原題:Get Out / 舞台:アメリカ / 製作年:2017 / 言語:英語

※記事にはネタバレを含みますのでご注意ください!

 

これは・・・異色のホラー映画ですねぇ。今まで観たことないタイプです。とっても好きな映画です。

人種差別という、今まで何度も映画の題材になってきたテーマを、まったく別の視点から取り上げた作品です。

主人公のクリスは、彼女ローズの実家へ招待されます。自身が黒人であることから、クリスは白人のローズの両親に会うことに不安を覚えます。大丈夫よ、とローズは言うが・・・といった感じに始まります。これを読んでいる方はもう内容は知っていると思うのであらすじは割愛させていただきます。(あらすじを上手く紹介するスキルもないので笑)

ローズの家族や街の人たちの様子がなんとも異様でしたね。オバマ元大統領やUFCなど、黒人関係の話ばかりをして、やれ筋肉触らせて~だの、やれすごい握力だ~だの・・・。

「気を遣ってくれてるのは分かるけど、オレが黒人ってことを気にしすぎだよ・・・」クリスはそんな風に感じたでしょうね。これはこれで私たちがやりがちな、ある意味「差別」なんでしょうね。誰に対しても同じ態度で接するっていうのが本当は一番良いんだろうなぁ。

そして街で出会った3人の黒人たち。クリスは最初は仲間意識を覚えるのですが、彼らもなんだかおかしくて・・・。

使用人のジョージナさんが、不気味すぎて怖いのよね・・・笑顔が・・・。深夜に全力疾走してる庭師ウォルターも怖すぎますよ!笑 まあ中身がおじいちゃまだと分かれば、ああそっか、健康な肉体が楽しいのね・・・と思うけど・・・笑

かなり年上の女性といたローガン・キングも含め、3人とも何かがおかしい・・・服装だったり、話し方だったり。snitch(チクる、主に若者が使う口語)の意味が分からず、ああ tattletale(告げ口、古風に聞こえる単語だそう)ね、と言ったり。グータッチ(英語ではフィスト・バンプと言うそうです)に握手で返したり・・・。

ここでひとつ、私事ではございますが、小話を。

私は過去に2年ほどイギリスに住んでいたことがありました。各地を転々としていたのですが、一度ロンドンの南部、クロイドンに滞在したことがありました。

クロイドンって住民の黒人比率がめちゃ高いんですよね。ほんとに見事に黒人ばかりでした。白人は、ちらほらいたかな。アジア人は全く見なかったです。

泊まった宿のオーナーもやはり黒人の方。30代ぐらいの方でした。その方と最初挨拶したときに・・・。

映画と全く同じことが起こりました(笑)

彼はグーを出し、私はパーを出す(笑) あっ、て思ったのですが私の反射神経は亀のように遅いので、結局彼が握手に変えてくれました。

だってグーが出るなんて、思わないじゃん・・・?笑

いやしかし文化の違い等もっと私が理解していれば、あらかじめグーを出すよう準備できたかもしれない(笑)

いやでもグー出す日本人女性もなんか、よそ様のカルチャーにすり寄ってるようで嫌かなぁ(笑)

とにもかくにも、文化の違いを感じた瞬間でした。

 

さてさて、映画の話に戻りましょう。

映画では「鹿」も要所要所で出てきましたね。犠牲者たちのメタファーだったのかな?

映画冒頭では車に轢かれ、後半では剥製として出てきます。ローズたち家族の「トロフィー」だった犠牲者たち。しかしその後、クリスはその剥製をもって、ローズの父親ディーンを殺します。獲物が牙をむいた瞬間ですね。

音楽にもこの映画を理解するヒントが散りばめられていたようです。

映画の冒頭、ある黒人男性が、人気のない夜の街で車に付け回されます。その時車から流れていた曲がこれ。

曲名:Run, Rabbit, Run

On the farm, every Friday
On the farm, it’s rabbit pie day

出典:Flanagan & Allen – Run, Rabbit, Run! Lyrics | Genius Lyrics

毎週金曜日はラビットパイの日だ、と歌っています。

Run rabbit, run rabbit, run, run, run
Run rabbit, run rabbit, run, run, run
Bang, bang, bang, bang goes the farmer’s gun
Run rabbit, run rabbit, run, run, run, run

出典:Flanagan & Allen – Run, Rabbit, Run! Lyrics | Genius Lyrics

ウサギよ走れ、走れ走れ・・・

バンバンバンと農家の銃が鳴る・・・

この曲がこの映画の内容を暗示していたんですね。

そしてその後の、森の景色が流れるシーンで流れる曲にも、ガッツリ意味がありましたよ!

曲名:Sikiliza Kwa Wahenga(Main Title)

この曲ですが、何語で、どんなことを歌っているのだろうと気になったので調べてみました。

 In this track, the Swahili lyrics loosely translate to “Brother, listen to the ancestors. Run! You need to run far! (Listen to the truth) Save yourself! Run! Run!” 

出典:“Sikiliza Kwa Wahenga” by Michael Abels – The Metropolitan Symphony Orchestra

スワヒリ語だったんですね。

先祖の教えに従いなさい。走れ!もっと遠くまで!自分を守るんだ!といったことが歌われていたんですね。

そしてその後のシーン、クリスがローズの実家に行くために身支度をするシーンでは、この曲が流れます。

Childish Gambino(チャイルディッシュ・ガンビーノ)はグラミー賞を受賞したほどのアーティストですので、知っている方も多いのではないでしょうか?人種差別問題などをテーマにすることで有名ですが、この「Redbone」もそのひとつ。

といっても、私はあまり詳しくないので、とても詳しく解説してくださっている記事を張り付けておきます。

【意訳】 Redbone / Childish Gambino|山田 はじめ

ぜひ読んでみてください。

 

ありとあらゆるところに内容が盛り込まれていた映画「ゲット・アウト」。

実はラストシーンがもうひとつ存在していたって知ってましたか?

もうひとつのエンディングは、人種差別の過酷さを象徴するような終わり方をしていたそうですが、あまりにも現実で同じようなことが起こってしまったため、映画では良い終わり方にしよう、と変えたそうです。確かにあのエンディングは救いでした。あれがバッドエンドで終わっていたと思うと・・・。ただ好みは分かれそうです。あなたはどっち派でしょうか?

人種差別をちょっと変わった視点から描いた作品でしたが、私はとっても好きでした。

ホラー映画って、答えを出さずに観客の考えにゆだねて終わるものが結構多いじゃないですか。

それがあまり好きじゃなくて(笑)いや、ここまで奇妙な現象を思いついたなら理由も作り上げろよ!って思っちゃうんですよね~。

ゲット・アウトはちゃんと解答を出してくれるので、とてもすっきりして好きです。アイデアも素晴らしいし、音や映像で驚かすような安直なホラーでもない。最高でした!

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